第170章 彼女が機嫌がいいか悪いかなんて、小泉さんなら一目でわかる

小泉大輔は淡々と視線を流し、同じ光景を捉えていた。

瞳の色がわずかに凝り、薄い唇がきゅっと結ばれる。顔には、はっきりした感情が読み取れない……。

一方、外にいた南雲玲奈も、藤井一輝の登場にはかなり驚いた。

「……どうしてここに?」

しかも――そんな大量の花を抱えて?

今日はバレンタインデーとはいえ、彼はいったい誰に渡すつもりなのか。

なぜだか、南雲玲奈の胸がざわついた。

藤井一輝は平然としている。

「バレンタイン、一緒に過ごそうと思ってさ。ついでに仕事の話も。で、マンションの前に着いたら、小さい子に服を引っ張られて、花を買ってくれって頼まれた。母親が病院で治療中で金が要るんだ...

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